今回のシリーズでは、昨今のエネルギー問題の重要事項を語っている。
エネルギー問題について知っておきたいこと 概論
ほとんどの人々に当てはまる問題は、人々が無知だということではなく、知っていると思っていることの多くが事実と異なって...
今回語るのは私たちの身近な事柄について。
エネルギー問題というとどうしても、世界や国のお偉いさん達の資源のやり取りや政策みたいなスケールのでかい話題になりがちである。(まぁこのブログでも前回までの記事ではそういう話だったが(笑))
「そんな神々の戯れなんて知らないよ!!」
…という意見へのフォローとして、本記事ではグッとスケールを小さくして、私たちの生活に関わる要素を紹介しよう。
↓参考書籍。一冊目の先生とお話しする機会があったら、感動して多分泣く(笑)
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また、このシリーズに一貫する注意事項として、記事作成時点での情報であるため、直近で大きな技術的なブレークスルーがあってもフォローできていないので悪しからず。(三回目)
では早速、身近な事柄のトピックを3つ挙げよう。
ずばり、「断熱」・「家電の修正」・「意外と有効でない対策」である。
「前記事といい、フォーマットは固定?」とか言われそうだが、これらを説明していこう。
断熱 × 屋根裏に断熱材を × 屋根に反射材を
[ノーリスク, 非課税, 年間純益17.8%の投資] ↑こんなこと言われたら「詐欺か?」と思いそうなもんだ(笑) これは、あなたの家の屋根裏に断熱材を入れたときの収支利益の推定なのだ。 しかも、この数字はエネルギーコストの高騰が起こった場合にさらにはね上がる。 (この数値はもちろん個々の家の正確な状況や費用を反映したものではないが、概ね5~6年で導入費を回収できる計算になる。) 断熱材の利用は、新築の家や既に断熱効果の高い家に住んでいる場合は大きな利益を生むことにはならないかもしれない。 しかし、比較的古い家である場合、断熱材を敷設することによって、ここまでの利益を上げることができるのだ。 この利益の出所は「暖房や冷房を使わずに済んだお金」である。 1円節約することは、1円儲けることと同じ。 しかも、この利益は預金の利息や株で儲けたものではないため、非課税である。 国税庁の納税申告書には「知恵を使って節約したお金」を書き込む欄はない(笑) この投資をすることによって生活水準が下がることはない。 では、どうしてもっと多くの人が断熱材に投資しないのか? その理由の一つは、明らかに情報の混乱がある。 「回収期間」という概念は、多くの人にとって馴染みがなく、どんな投資も回収期間が3年以上になると消費者にとって負担になるという先入観がある。 前述にもあるとおり、屋根裏に断熱材を導入することによる回収期間は概ね5~6年であり、しかも、それ以降は年間純益17.8%となるのだ。 こうした投資に関する理解も私たちは深めていく必要がある。
[クールルーフ] 断熱材と似たような発想だが、家の屋根に当たる太陽光の熱を半分以上反射する素材にすると、太陽電池を取り付けることよりも高い利益が返ってくるはずだ。 屋根に吸収される熱を1/2に減らせば、エアコンを使うエネルギーが減り、かなりのお金の節約になるからである。 (これは、夏場に限った話ではない。冬場でも、家の「中からの」熱の放射を半分以上反射するため、暖房に使うエネルギーが減るのだ。) では、光を反射する「白い」屋根にすればいいのか? さすがにそれでは眩し過ぎると感じる人も多いだろう。 したがって、赤外線(熱放射を担う;目に見えない)を反射するような表面の工夫をするだけでも、見た目の色を変えずに十分な熱の反射をさせることができる。
家電の修正 × 照明はCFLやLEDを × 冷蔵庫は新しめのものを
[ノーリスク, 非課税, 年間純益209%の投資] ↑いよいよもって「詐欺か?」と疑われそうだ(笑) これは、あなたの家の白熱電球をCFL(コンパクト蛍光灯)に取り換えたときの収支利益の推定なのだ。 しかも、この試算には「電球の交換」を考慮していないため、CFLよりタングステンフィラメントの耐用期間が短いことを加味すれば、利益はもっと上がる。 (導入費が少し高めになるが、これはもちろんLED(発光ダイオード)への切り替えでも有効である。しかも、寿命はCFLよりもさらに長い。) 人によっては、CFLやLEDの光を白熱電球と比べて快適ではないと感じるだろう。 だが、技術の進歩により電球の品質も上がり、今では色もずっと「暖かく」なった。 最近では明暗の調整さえもできるようになっている。 一般的に、1個の照明にかかるコストは1日あたり数円単位(1月あたり100円前後)で、純益率の高さの割に節約できる金額が小さすぎると思われるだろう。 だが、例えば大会社の建物全体ならば、その節約費用は莫大なものになるのだ。 「身近な事柄」といっておいてなんだが、こうした小さなことの理解と積み重ねが、大きなスケールでのエネルギー問題で指数関数的に効いてくるのである。
[エネルギー効率のよい冷蔵庫] ここにきて、冷蔵庫の話かよ。 …なんて退屈されそうだが、案外バカにできない。 技術の進歩により最近の冷蔵庫では、家電としての性能で省エネとなるのに加え、収容量の増加によるトータルのエネルギー効率の向上もみられるのだ。 今日の冷蔵庫のエネルギー使用量に変化を起こした原因は何か? それは、政府による効率化の義務づけ, 市場競争の原理, 断熱効果の向上, 高効率のモーター使用, 電気の浪費の低減である。(他にも要因はあるだろう。) そして、この変化は「部屋を冷やす冷蔵庫」であるエアコンでも進行しているのだ。
意外と有効でない対策 × バスの利用は慎重に × 紙の再生は慎重に
[バス] 実は、公共交通機関利用のエネルギー節約は、限られた状況下でしか効果がない。 多くの人は、公共交通機関を拡大すれば、自動車への過度の依存状態を確実に解決できると思い込んでいる。 バスは、同じ重量当たりで比較するなら、自動車よりも多くの人を運べる。 だから、バスは乗客を同じ量の燃料でより遠くまで運べると思うだろう。 …ただし、それはバスが「いつも満員」だったらの話だ。 公共交通機関は、混雑した都市環境の中なら大量のエネルギーを節約することができるが、皮肉なことに郊外や田舎ではエネルギーの浪費になる可能性がある。 よく考えれば、バスがラッシュアワーの往復をする場合、逆方向に引き返すときはがら空きになるだろう。 しかも、バスは何度も停車と発車を繰り返す。 このように頻繁に加速を行うと、燃料効率は著しく低下する。 もしバスが乗客の住んでいる場所の近くまで行くために遠回りのルートをとるとすると、あちらこちらへ行き来して、乗客は自分で車を運転するよりも長い距離を移動することになる。 習慣的にバスを利用するように人々を仕向けるには、日中いつでも長く待たずにバスに乗れるようにしなければならない。 そうでなければ、人々は自家用車を使うだろう。 そして結局、多くのバスがわずかな乗客を乗せて長時間走ることになるのだ。 バス輸送に関して、平均損益分岐点は人口密度によって決まる。 国や都市の規模にもよるが、人口密度が4000m2あたり15世帯未満の場合には、上記の要因により、逆にエネルギー使用量を増やすことになると推定される。 「もっと公共交通機関を増やそう」といった短絡的な解決策には注意が必要なのだ。 微妙な問題が見逃されていて、意図せぬ結果を招くことも多いのである。
[再生紙] たんなる一時的流行や役に立たない対策はたくさんある。 そうしたものの中には、心理的価値があるものもあるかもしれない。 例えば、学校の先生が物を大切にする意識を養うために子どもたちに紙の再生を呼びかける、といった場合だ。 実際にほぼ全ての紙は、紙の材料として特別に栽培された木から作られる。 したがって、紙の再生は森林資源を節約することにはならない。 また、紙は生分解性だが、埋め立てに使った場合は簡単には分解しない。 もちろん、埋め立てに使う場合は、紙の材料として育てられた木が空気中から取り込んだ炭素を隔離することになる。 つまり、紙の再生は、埋める場合と違い、二酸化炭素の隔離にはならないのだ。 だから、紙の再生は、森林資源の節約にも温室効果ガスの排出削減にもならない。 紙を再生しても、良いことも悪いことも何もないのである。 重要なことは、あなたが紙の再生をよいことだと信じていることだ。 理解して欲しいのは、紙の再生がよいことだと誤った情報を受けた人々が、自分たちがだまされていたことを知ったとき、きっと腹を立てるということである。 人は誰しもがだまされることが好きではない。 事実を知ったとき、好ましくない反応をすることもあるだろう。
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ここで紹介したのはエネルギー問題についてのほんの一部である。
ここで注意点。何度も述べるが、こうした情報はバイアスかかりがち。感情論になりがち。
もっと知りたいと思ったら…そう、自分で情報を精査し考えるのだ!!
決して、ただただこのブログや参考文献だけを鵜呑みにしないように!!
常に新たな視点で物事を思考していこう!!これぞ賢者への道程!!
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