今回のシリーズでは、昨今のエネルギー問題の重要事項を語っている。
エネルギー問題について知っておきたいこと 概論
ほとんどの人々に当てはまる問題は、人々が無知だということではなく、知っていると思っていることの多くが事実と異なって...
最後に語るのは未来に向けたシリーズ総まとめ。
「御託は十分だ。早く聞かせろ。」
…と言われる前に、早速ラインナップを挙げよう(笑)
<将来のエネルギー問題に重要な位置を占める技術> ・エネルギー生産性:効率と省エネ ・ハイブリッド車、および燃費を向上したその他の自動車 ・シェールガス:自動車用燃料, 合成燃料の原料, 石炭の代替物 ・合成燃料:ガスや石炭から作られる液体燃料 ・シェールオイル ・スマートグリッド <急発展する可能性のある技術> ・太陽光発電 ・風力発電、およびその電力供給のための送電網の改良 ・原子力:新旧両世代 ・電池:太陽光や風力のバックアップ用 ・バイオ燃料:特にミスカンザスのようなイネ科の草を原料とするもの ・燃料電池:特にメタンベースの電池 ・フライホイール <問題解決の可能性がもっとも低い技術> ・水素経済 ・完全電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車 ・コーンから作るエタノール ・太陽熱発電 ・地熱 ・波力および潮力 ・メタンハイドレート ・藻類バイオ燃料
↓参考書籍。ブログ主にとって、エネルギー問題のグリモワール(笑)
リンク
リンク
毎度おなじみの注意事項:ここにあるのは記事作成時点での情報のため、直近で大きな技術的なブレークスルーがあってもフォローできていないので悪しからず。(四回目)
とはいっても、上の事柄を全て紹介していたのでは日が暮れる。
ここでは、「エネルギー技術政策」・「考慮すべき重要事項」・「要注意事項」にトピックを焼き直して、語っていこうではないか。
(後で謝罪するが、結局分量が多くなり、前・後半の2記事になってしまった。サーセン(笑))
エネルギー × ギジュツ × セイサク
[エネルギー生産性] もっとも安価なエネルギーとは「使わないエネルギー」である。 省エネと効率向上によってエネルギーを節約することはできるが、こうした言葉の使い方には注意が必要だ。 省エネという言葉は「我慢」という悪いイメージと結びつきやすいし、効率という言葉も実業家たちのせいでしばしば「低利益」という誤った印象と結びつきやすい。 しかも、効率という言葉がより多くエネルギー使用を仕向ける結果となることも。 こうした流れから、「エネルギー生産性」という言葉を著者は推奨している。 しかるべき動機づけをすれば、電力会社をエネルギー生産性向上に協力させることもできる。 今までで一番成功しているのは「デカプリングプラス」と呼ばれる政策で、これは電力会社がエネルギーというよりも生産性を売り物にして利益を上げられるようにしたシステムだ。 (詳細については参考書籍を読まれたし。)
[天然ガス] アメリカでは、天然ガスがたなぼたのように運よく見つかった。 これをうまく開発すれば、石油危機を乗り切るためだけでなく、二酸化炭素排出量の削減にも、今後数十年間は大いに役立つだろう。 そのためには、天然ガススタンドのインフラ整備を進めなければならない。 同時に、水圧破砕により起きるかもしれない局地汚染を防止する法律も必要だ。 天然ガスの利用は、アメリカだけでなく、全世界で急速に拡大するだろう。 天然ガスはひじょうに重要な燃料になるため、「天然ガス経済」とでも呼ぶべき国家規模の計画を検討するのもいい。 こうした計画によって、この新しいガス源の価値を認識し、その開発を促進するための一貫した政策とインフラ開発を行うのだ。
[シェールオイル] ほんの数年前まで、エネルギー問題に関心を持つ多くの人たちは、シェールガスの漠然とした重要性を完全に過小評価していた。 今その人たちは、シェールオイルに対して同様の評価をしているのかもしれない。 この潜在的に(良い意味で)破壊的な技術は、今にわかに台頭してきたばかりだが、数年後にはとてつもなく重要なものになっているだろう。 これから10年も経てば、主要国の石油25%はシェールオイルになるかもしれない。 シェールオイルは産出国のエネルギー安全保障の問題を解決し、石油輸出国に回ることで貿易収支の赤字を減らしてくれるかもしれない。 専門家の試算では、かなりの量のシェール石油が1バレル30ドル程度の低コストで回収可能とのこと。 もしこれが事実なら、シェールオイルは合成燃料にとって厳しい競争相手となる。 もっとも、同じ価格で比較するなら、エネルギー量は天然ガスの方が大きいが。 石油は主として輸送に使われるから、新しい原油源はどんなものであっても、自動車を嫌う人たちからの反対を受ける。 しかし、シェールオイルは経済と安全保障の両方の理由から抵抗しがたい。 環境保護のための最良の方法は、自動車の効率を定める「CAFE:企業平均燃費」の基準を強化していき、1ガロン100kmという達成可能な目標を推し進めていくことかもしれない。
[合成燃料:ガスや石炭から作られる液体燃料] 合成燃料の精力的な計画は、安全保障(軍事用の緊急燃料の供給)だけでなく、収支の赤字を減らすという経済上の必要性からも、重要である。 合成燃料に対する主な批判は、環境にやさしくないということと、持続可能ではないということだろう。 しかし、忘れないでほしいのは、過去50年間に主要国の自動車が地球温暖化に及ぼした影響はわずか40分の1程度にすぎないことと、CAFE(企業平均燃費)の実行可能な基準によって自動車の影響は将来的に低く抑えられる可能性があることだ。 「持続可能性」についていえば、(アメリカには)何十年も持つ天然ガスと、100年以上は持つ石炭が埋蔵されている。 そのあとはおそらく、自動車用の燃料として、何度でも再充電できるバッテリーか、原子力か、あるいは反物質か、今の私たちには想像もできないようなものが開発されていることであろう。
[ハイブリッド車とプラグイン・ハイブリッド車] 完全電気自動車は、主要国の輸送用エネルギーの未来に大きく貢献しないだろう。 もし電池の技術が飛躍的に大発展すれば話は別だが、そうした見込みもない。 完全電気自動車に助成金を出すべきではないし、奨励もしないほうがいいだろう。 しかし、電池は電気自動車以外の多くの分野にとっても重要なものだから、その開発には引き続き支援する価値がある。 エネルギー貯蔵用の固定式の電池は、自動車用の電池とは大きな違いがあるのだ。 一方、発展途上国では、航続距離が160㎞を超えるような自動車は消費者から求められていないから、鉛酸バッテリーの自動車でもガソリン車と競争できる。 主要国では電気自動車に人気が集まっているが、こうした動きでは電池交換にかかる高いコストが見過ごされている。 完全電気自動車に対する熱狂を支えているのは、電池の市場が拡大すれば電池のコストが大幅に下落するだろうという期待であろう。 しかし、電池技術は、特に自動車用の電池は、大きな難問である。 電池の価格はすぐには下がりそうにないし、化石燃料と価格が並ぶようになるにはまだまだかなりの時間がかかりそうだ。 電気自動車に対する熱狂を煽っているもう一つの要因は、二酸化炭素排出を抑えるためには電気自動車が必要不可欠だという過度の思い込みである。 石炭発電所から供給される電気で再充電した場合は、電気自動車のほうがガソリン車よりも多くの二酸化炭素を大気中に放出するということを忘れないでほしい。 一方、ハイブリッド自動車は、間違いなく、もっと広く普及することだろう。 ハイブリッド技術を、軽量で強靭な素材と合わせて活用すれば、燃費をもっとも効果的に向上させる方法の一つになると考えられている。 (プラグイン・ハイブリッド車はこの限りではない。詳細は書籍を参照されたし。)
[原子力] もし、世界のエネルギーの未来のために原子力技術がいかに重要かを、他の人にも納得させなければならないとしたら、どう説明するだろうか? そのためには、あなた自身が事実を知り、原子力が将来のエネルギーとして安全なものになりうるかどうかを判断しなければならない。 福島の原発事故では、放射能による誘発癌の最終的な死者の数が100人未満と推定されるが、津波で亡くなった犠牲者の数は15000人に上る。 津波で怖いのは「津波そのもの」であって、津波で原発を破壊されたことではない。 また、放射線レベルがどれだけであっても、それがデンバー線量(自然放射線量の一つの基準値)以下のレベルだったら、心配は無用である。 原子力は既に安全にでクリーンなものであり、発展途上国から排出される二酸化炭素量の削減のためにもひじょうに重要だ。 新しい世代の原子力発電所のなかには、貧しい国にこそ適したものもある。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
…すいません、1記事に収まりきれませんでした。
トピック多いからまとめ直すとか言っておいて、このざまである(笑)
考慮すべき重要事項と要注意事項は次回に紹介するので、乞うご期待!!
情報の取捨選択は練習中!!これぞ賢者(?)への道程!!
コメント