原子力発電・・・核融合と核分裂・・・連鎖反応・・・臨界点・・・放射線被爆・・・etc.
きっと誰しもこれら核技術の専門用語に恐れや不安を感じたことがあるだろう。
個人的な見解だが、放射線に関する悪いイメージばかりが広まっていて、その高い技術水準や有効利用するメリット、安全基準などが全然取り上げられていない。
そんな核技術と放射線を客観的に学ぶにあたってのポイントを3つ挙げるとすれば
① 「桁違い」ではなく「単位違い」のエネルギー
② 核技術は叡智の結晶
③ リスクを数値で判断する
さてさて、これらをかいつまんで説明しよう。
劇的なエネルギー量
問:なぜ核技術を使うのか?
解:得られるエネルギーが大きいから
核反応で発生するエネルギーは、燃焼や化学反応で発生する量のなんと100万倍!!
(さらに反応原子核や過程・条件によっては10億倍になることも!!)
つまり、同じ質量なら原子力発電は火力発電のざっと100万倍発電できるというわけだ。
もちろん、材料の埋蔵量、反応過程で生じる廃棄物、発電所建設のコストや運用費など、多くの要因があるので一概にどの方式の発電が優れているかを語るのは難しい。
だが、確実にいえることとして、核技術で得られるエネルギーは莫大である。
「k(キロ)=1000倍」、「M(メガ)=100万倍」、「G(ギガ)=10億倍」、「T(テラ)=1兆倍」・・・
「桁違い」なら10~100倍弱といったところだが、100万倍はまさに「単位違い」の量なのだ。
悲劇の中で生まれた叡智
量子力学誕生の時代ということもあるが、第二次世界大戦を背景に核技術は変遷した。
ヨーロッパでファシズムが吹き荒れる中、アメリカに亡命した多くの科学者がオッペンハイマー指揮するマンハッタン計画の基、核技術を発展させていったのだ。
第二次世界大戦終了後も、米ソ冷戦を背景に国家プロジェクトとして核兵器開発は進められ、ツァーリボンバなる史上最大の核爆弾はじめ多くの大気圏内核実験が行われてきた。
現時点では抑止力としての意味合いが強く、歴史上2回しか使用されたことはないが、核兵器は世界を何度も滅ぼすことができる禁断の兵器である。
・・・と同時に、核分裂ないし核融合による原子力発電もまた、世界中の人々に文明発展の営みを与えてくれる最強の技術でもある。
歴史を紐解くと、多くの優れた技術は争いを背景に生まれてきた。
核技術も多分に漏れず、戦争という悲劇の中で育まれた叡智の結晶なのである。
そんな核技術を一から学ぶとしたら、まず下記のインプットをおすすめする。
喜劇のようなゼロリスク信仰
有機物中のカリウム40や炭素13、水分子の中に水素として含まれるトリチウム。
その他にも花崗岩中のウラン238、大気中のラドン222、宇宙からの放射線・・・etc.
はっきりいって、身の回りから放射線被爆を無くすことは不可能である。
放射性元素を全く含まない生命や物質は存在しない。
地球上で放射線被爆を免れる場所も存在しない。
よく例えで「ゼロにどんな大きな数字かけてもゼロ」とある。
逆に言えば「どんな小さな数字をかけてもゼロにはならない」のである。
「放射線をゼロに」という荒唐無稽なフレーズを抱え、そのメリットすら容認せずに、人類叡智の結晶である核技術を全否定をすることがいかに空虚な考えであることか。
たまに「自然からの放射線は人工的な放射線とは別」とか言う人もいるが、原子核の崩壊過程という客観的事実を全無視した感覚的なものである。
放射線被爆に関して結局できることといえば、綜合的なメリットがデメリットを上回る数値基準を判断して、そこまで被爆量を減らすこと、それに尽きる。
いろんな要素が絡むためその判断自体はとても難しい側面もあるが、少なくともあやふやな「感覚的」ではなく、「数値的」に考えることは必須である。
↓の本はそんな放射線や科学技術そのものを数値で考える大事さを教えてくれる。
核技術と放射線・・・科学技術を利用することへの責任と判断が問われる、人類叡智の結晶
核技術と放射線を一から学ぶなら…この記事ではその一歩目におすすめの本を紹介した。
ただし注意!!これらはインプット!!
さらに深く習熟したいなら専門書や演習問題などのアウトプットをお忘れなく。
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