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量子力学の多世界解釈 おすすめ理学書籍

量子論
量子力学を使える人はいくらでもいるが、
それを理解している人は誰もいない。
(リチャード・P・ファインマン)

物質は原子からできている。

そして、原子のふるまいを説明するために誕生した理論が量子論である。つまり量子論は現代の自然科学の基本であり、それによって科学と技術はめざましい発展を遂げてきた。

しかし、20世紀を代表する著名な物理学者の一人であるファインマンがいうように、量子論の使い方はわかっても、それが意味する粒子像・物質像は何かといった原理的な部分では、いまだに議論が続いている。

これが量子論の解釈問題であり、今回紹介するのはその概要を解説してくれている書籍だ。

先に結論から言おう。

量子論の最大の問題は、一般に、観測結果を確定的に予言できないことにある。

1つの量子がどうふるまうのか、例えばある時刻に観測したら粒子はどこに発見されるのかを、予言できない。同じ状況で観測を無数に繰り返せば、結果の分布については予言できる。つまり、確率のみがわかるといった状況なのだ。

こうした量子論における摩訶不思議な現象をどう解釈するかはいまだ論争中である。

本記事で取り上げるのは現在主流な2つの考え方だが、万人が納得できるものではない。どちらが正解なのか、はたまた量子論の解釈にそもそも答えがあるのかは分からない。いずれにせよ、物理学をもう一歩進ませて、より高い段階から全体を見直す必要はあるのだろう。

(ちなみに、こうしたことに関わる「量子論の描像」について、自分の考えを語った記事があるので、参考にしていただければ幸い。)

続 量子力学を一から学ぶ
先日、ブログ主の物理観に多大な影響を与えている吉田伸夫先生の新刊が発売された。↓この本では、量子力学を特に波動...

ではでは、ここから粒子と波動を巡る量子論の謎をあらわにした有名な実験とその解釈を、本書を参考に紹介していこう。乞うご期待!!

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粒子性&波動性の観測結果:俺たちは二人なら最強だ

量子論黎明期の最も有名な観測結果の謎とは…

……

………

…………言葉だけで実験を説明するって難しいなぁ(笑)

このブログの根幹そのものを破壊しかねないやり方だが、百聞は一見に如かず!!

↓のリンクの図および動画を参考にされたし。

ヤングの実験 - Wikipedia
二重スリット実験 - Wikipedia

け、決してサボっているわけでは…(笑)

特に↑の浜松ホトニクスの動画は、ブログ主が生誕する前の時代の実験解説動画にも関わらず、非常に分かりやすかった。「伝える」という点で、産まれる前から惨敗である(笑)

コペンハーゲン解釈:何も違わない 私は何も間違えない

前節の電子や光子の挙動を理論的に描くには、非相対論的な領域で実用的なレベルとして、かの有名なシュレディンガー方程式やマクスウェル方程式などの波動方程式を使えばよい。

ただし、これらの理論も、実際の粒子や波を記述しているわけではなく、あくまで「状態」という概念的なパラメータを波動方程式に落とし込んでいるにすぎない。そして、粒子の位置を特定するような実験結果は、概念としての「波」のその位置での振幅(正しくは複素数の絶対値の2乗)に比例する。これが量子論黎明期にボルンの提唱した「確率則」である。

これらの理論が確立する以前から、電子や光子が粒子でもあり波でもあることを認めるとしたら、そのような謎の残る実験結果になるはずだということは言われていた。そして実際にそのとおりになったのである。

1つ目の解釈である「コペンハーゲン解釈」では、以下のように考える。

波として広がっていた粒子が、ある特定の1点に観測されたとしよう。
それを認めたとしたら、粒子はその後、どんなふるまいをすると考えるべきか。

その後の粒子は、少なくとも次の観測までは、再び波として計算することになる。
ただし、観測前の波ではない。
例えばA点という位置で観測されたとしたら、そこだけ飛びでている鋭いピークのような波から出発して、その後、どのように変化するかを計算する。
この妙な形をした波が、観測の瞬間には位置の広がりをもたない、A点に限定された波を表しているからである。

理論的に計算すれば、この波はすぐに周囲に拡がっていくことがわかる。
そして再び、粒子の位置を測定したとしよう。
すると粒子はまた1点に観測されるから、波はその時点で突然鋭いピークになる。
そしてその後はまた広がっていく。

このように、広がっていた波は観測のたびに、検出された位置に突然集中する。
ただし、それがどこであるかは、確率的にしか決まらない。
この奇妙な現象を「波の収縮」と呼ぶ。

理論から導かれる「確率則」と「波の収縮」を組み合わせた、以上のような実用的な体系が、同じく量子論黎明期にボーアを中心とした人々の議論のなかから誕生した。

シュレディンガーと並行して、量子力学の別の流儀を提出したハイゼンベルグも、その創設者だった。ただし、シュレディンガー自身はこの体系に懐疑的で、だから、かの有名な「シュレディンガーの猫」という、皮肉ともとれる思考実験を提出したのだ。

ボーアは若い頃はイギリスで学んでいたが、のちに母国デンマークのコペンハーゲンの研究所に本拠をかまえたので、ボルンの確率則と波の収縮を基本として量子論を正当化する考え方を「コペンハーゲン解釈」という。

この解釈にしたがえば、粒子は「波としての変化」と「波の収縮」を繰り返すことになる。

「波としての変化」の法則は理論的に表される。しかし、「波の収縮」はまったく人為的なものである。人間がそこに観測したから、そこに収縮したのだと言うだけで、なぜ収縮するのか、観測されなかった部分はどこにいくのか等、本質的な疑問には何も答えていない。

こうした根源的な謎を説明すべく、後述の「多世界解釈」が生まれていくのと並行して、コペンハーゲン解釈も現代的に変化を遂げていった。

この新しい潮流としては、認識論的コペンハーゲン解釈あるいは量子ベイズ主義(Qビズムと称される)などがある。本記事では割愛するので、興味を持たれたら参考書籍を読まれたし。悪しからず。

多世界解釈:カカカッ 喜ばしいのう 分かれるのは久方振りじゃ

前節にあるように、量子論では粒子のふるまいを「波」によって記述する。しかし、波は数学的な表現であり、実体があるとは思えない。そこで解釈問題が生じる。

そこで「多世界解釈」では、粒子は実在するものと考える。

粒子の状態は1つに決まらず、複数の状態が共存していて、「波」は共存する状態の共存度の分布を表わすものだと解釈する。
あくまでも粒子が「実在する」とみる考え方が、多世界解釈の根本にある。

粒子の位置を観測すると、波としてではなく、どこか1ヵ所に観測される。
これについて、コペンハーゲン解釈では、波は検出された位置に瞬間的に収縮すると仮定する。
一方、多世界解釈では、粒子と観測者はつねにセットであると考え、「波の収縮」は考えない。
つまり、観測を行うと、ある位置に粒子を観測した観測者、別の位置に粒子を観測した観測者…というように、観測後も複数の(セットとしての)状態が共存すると考えるのだ。

ここに、2つの重要なポイントがある。

エンタングルメント:量子もつれ、あるいは分離不可能性
量子力学では状態を表すときに、すべてのものをセットで考える。
そしてセットで表された状態が一般に複数共存する。
その結果として、個々の対象の状態は個別には決められないことになる。
これをエンタングルメントと呼ぶ。

(エンタングルメントが正しい考え方であることの実験的な検証は20世紀末に盛んに行われた。詳細は以下の記事および参考書籍を読まれたし。)

量子の不可解な偶然 おすすめ理学書籍
先日、2022年のノーベル物理学賞の受賞者に、「量子もつれ(quantum entanglement)」という特殊な現...
・デコヒーレンス:修復不可能性
多世界解釈では、観測後も複数の状態が共存する。
しかし、これらの状態が互いに干渉しあってはならない。
それを保証するのがデコヒーレンスという考え方だ。
これもある意味ではエンタングルメントであり、20世紀末頃から注目されだした。

何かのプロセスのどこかで生じた、無数の粒子の異なる状態を、同じ状態に戻すことは不可能なのであり、その違いは「修復不可能」となる。
これをデコヒーレンスと呼ぶ。
そして、修復不可能な差が生じた状態同士は、その後は干渉し合うことはない。
無関係に、独立に、歴史を刻んでいくことになる。

この2つをまとめると、最初は関係し合っていた共存する複数の状態が、観測などを通じて、互いに無関係な複数の世界に分岐するのだ。

量子論の基本原理によって決まる全てのプロセスは実際に起こる。それらの複数の状態は、ボルンの確率則に相当する規則として「頻度」の大小により、重みをつけられた状態のセットで共存するのだと考える。

このことは何も、粒子の位置を測定する場合に限らない。1つの電子や原子における小さな差が周囲の原子に影響し、その差がネズミ算的に広がっていくとしよう。このように、ミクロな差が何らかの理由でマクロな差に転化するたびに、共存する複数の状態が、無関係な複数の世界に分岐していくのである。

そして独立かつ無関係な世界が「多数」共存することになる。これが「多世界解釈」の由来だ。

(なお、本書の著者はライフワーク的に量子論の解釈問題に取り組んでおり、一部客観的ではあるが、コペンハーゲン解釈の批判、および持論である多世界解釈を終始肯定している印象を受けた。高齢の先達が持論に主題をつけて出版する以上、ある程度仕方ないとは思うが、もう少し多世界解釈の批判的側面も知りたかったのが素直な感想である。)

多世界解釈 - Wikipedia

(あくまで個人的にではあるが、超弦理論と同じく、なんでもありの論理で反証不可能な世界を持ちだしているような印象がある。そういったことも含めて、↑のリンクで多世界解釈に持ち上がっている批判を参考していただれば幸い。どうでもいいけど、上弦の鬼は強い(笑))

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ここで紹介したのは、いまだ百家争鳴な量子論の根幹における解釈のほんの一部である。

もっと知りたいと思ったら、本書を一読して、「量子の海」へ漕ぎだそう。

目指せ!!量子論の隣人(笑)!!これぞ賢者への道程!!

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