ウラシマ効果・・・タイムパラドクス・・・ワームホール・・・4次元空間・・・アリスとボブ・・・
相対性理論は興味深い「if」を提起し、SF文化を含め人々の「時間」観に一石を投じてきた。
古典物理学の中でアイザック・ニュートン卿が訝しみながらも導入した「絶対時間」と「絶対空間」は現代物理学では否定され、時間そのものに対する考えは現在議論の的である。
時間とは何なのか?物理学的に考えるポイントを3つ挙げるとすれば
① 相対性理論:時間の「幅」は速度・加速度によって変化する
② 熱統計力学:時間の「指向性」とは宇宙全体のエントロピー増大で生まれる
③ ループ量子重力理論:「時間」とは空間の構成変化である
さてさて、これらをかいつまんで説明しよう。
相対性理論:まだ理解はできる
相対性理論構築にあたってアインシュタインを悩ませたのは、電磁気学の大原則であるマクスウェル方程式に等価原理を当てはめることだった。
ものすごく簡単に言うと、
(1) 停止している箱の中で電磁気の実験をする (2) 等速度で動いている箱の中で電磁気の実験をする
この二つは等価原理を考えると同じ結果になる。
しかし、マクスウェルの方程式では速度の項があり、二つの実験が箱の中で同じ結果になるには、速度によって幅が変化する時間・位置の座標系を採用するしかない。
そうして生み出されたのがミンコフスキー時空と呼ばれる、光速を極限の線とした時間と位置の座標系であり、特殊相対性理論を構築している。
さらに加速する系まで等価原理を拡張すれば、
(3) 重力がかかった箱の中で電磁気の実験をする (4) 上向きに重力加速度と同じ加速度で進む箱の中で電磁気の実験をする
この二つも同じ実験結果になる。((4)では重力と同じ大きさで下向きに慣性力が働く。)
「速度によって幅が変化する」座標系に、「加速度で幅の変化量が増減する」要素を追加。
それはリーマン幾何学で構成された曲率の面で、一般相対性理論を構築する座標系となる。
小難しいこと言ってきたが、つまり時間座標の幅は速度と加速度で変化するのだ。
熱統計力学:イメージしやすい
力学・電磁気学・量子力学では構築する方程式に時間の対称性がある。
つまり、これら体系では時間が可逆的であり、過去と未来を区別できないのだ。
簡単な例でいうと、(摩擦の全くない理想的な)振り子が揺れ動くのを撮影した動画を見たときに、それが順再生が逆再生か分からない。
だが、実際の振り子の場合、紐の摩擦力や空気抵抗によって次第に止まる。
したがって、時間の不可逆性を生みだしているのはエネルギーの散逸ということになる。
熱統計力学でエネルギーの散逸をしめす法則として、集団が成す系の中で熱運動は拡散・平坦化するという定理、いわゆるエントロピー増大の法則がある。
では、エントロピーが増大するのが時間の流れとするならば、時間の始まりはいつなのか?
エントロピーが究極に極小の状態・・・そうビックバン時の「点」であり、そこからエントロピーの増大・・・つまり宇宙が拡大し始めて時間の流れが生まれたと考えるとイメージしやすい。
抽象的ではあるが、つまり時間の指向性はエントロピーの増大で生まれるのだ。
ループ量子重力理論:分からん
前の二節は相対性理論と熱統計力学を用いた時間描像であり、これらは既に基礎の枠組みがある程度完成された学問領域である。
最後に取り上げるのは、まだ議論の真っただ中であり、その体系を絶賛構築中のループ量子重力理論による時間解釈だ。
これは相対性理論と場の量子論を矛盾なく融合する案の一つであり、超ひも理論と並ぶ「万物の理論」候補の一角である。
その体系の中では、空間は重力子によって量子化されており、重力子間の作用過程、つまり空間の構成が変化することが「時間」であると。
・・・なるほど、分からん(笑)
入門書のない先端領域のため、こればかりは専門書での学習を推奨するので悪しからず。
そんな時間に関する物理学的解釈を学ぶとしたら、まず下記のインプットをおすすめする。
時間・・・それは相対的であり、指向性があり、空間の変化でもある
時間とは何なのか?…この記事ではその描像理解の一歩目におすすめの本を紹介した。
ただし注意!!これらはインプット!!
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