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宇宙になぜ、生命があるのか② おすすめ理学書籍

相対論・宇宙

「生命の起源」…人類が最も答えを知りたい問であり、最も難解な謎の一つ (二回目(笑))

前回に引き続き、そんな生物学的テーマに対して、宇宙論と天体物理学が専門である著者が、「インフレーション宇宙論」から予測される「宇宙の広大さ」と結びつけた自論を解説した書籍↓を紹介していこう。後半戦からが本番だ!!

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遺伝情報の起源とRNAワールド

原始生命発生確率の上限と下限 ~ドレイクの式~

前半2トピック↑は前回記事にて。お許しを(笑)

宇宙になぜ、生命があるのか① おすすめ理学書籍
「生命の起源」…おそらく人類が最も答えを知りたい問であり、最も難解な謎の一つだろう。今回紹介するのは、そんな生...

広大な宇宙を作るインフレーション宇宙論

詳細は本書や他の一般書籍・専門書に譲るが、ビッグバン宇宙論における問題点として、

・「平坦性問題」
観測される宇宙が極めて平坦であること

・「地平線(一様性)問題」
因果律的に結び付きを持たないほどの大きなスケールにわたって、
宇宙が極めて一様であること

…こうしたことが挙げられてきていた。

インフレーション理論を用いると、それらを自然に説明することができる。

宇宙誕生時、真空のエネルギーが大きな値を持っていて、それにより、密度がほぼ揃った一様な微小領域が、加速度的な膨張を起こした。
これは一定の時間間隔で宇宙の大きさが何倍になるという、いわゆる倍々ゲームやネズミ算式の急激な膨張で、これを「インフレーション」と呼んでいる。
そうして、一見、因果律を超えて一様な宇宙が広がったような状況になる。

このときの時刻は宇宙誕生からわずかに1036分の1秒という時代である。
この時刻に光速をかけた1026分の1cmが、もともと、因果関係を持てて一様になっていた領域サイズである。これがインフレーションによって1026倍に膨張し、1cm程度の領域となった。ここでインフレーションが終わり、真空のエネルギーは普通の物質や電磁波のエネルギーに転化する。
これが、従来のビッグバン宇宙論の出発点となり、あとは一般相対性理論に基づいて普通の物質に満ちた宇宙の時間発展を追っていけば、わずか1cmの領域がやがて現在の138億光年の宇宙となるのである。

あまりに宇宙初期のため、かってインフレーションが起きたという直接的な証拠は乏しい。

しかしインフレーションは、平坦性・地平線(一様性)の問題を解決できるだけでなく、もう一つの重要なご利益がある。

インフレーションで拡大された領域は完全なる一様密度ではなく、わずかな密度ゆらぎが生じる。それが重力で増幅され、やがて銀河などの天体が生まれるための種となるのだ。

密度ゆらぎの性質は宇宙の大規模構造の観測データを用いて詳細に調べられていて、インフレーション宇宙で予想されるものと極めてよい一致を示している。

こうした理由で、宇宙論研究者のほぼすべてが、インフレーションをビッグバン宇宙論の基盤の一つとして受け入れている状況になっている。

・インフレーション宇宙が予想する「宇宙の真の大きさ」

それではこのインフレーション宇宙論に基づいて、宇宙が地平線を越えてどこまで広がっているのかを考えてみよう。
我々が観測する宇宙を説明するのに必要な最小限のインフレーションが、サイズにして1026倍になるというものである。このとき、インフレーションで広がった一様な宇宙の大きさは、ちょうど半径138億光年という、我々にとって「観測可能な宇宙」と同じサイズになる。
インフレーションは倍々ゲームであり、もしインフレーションの継続時間が2倍だったとすれば、拡大率は1026の2乗、つまり1052倍となる。3倍なら1078倍である。つまり、10xのxが、インフレーションの継続時間に比例する。
では実際のインフレーションの継続時間に対応するxはいくつだったのだろうか? 観測事実を説明するにはxは26より大きくなくてはならないが、それよりいくら大きくても問題ない。
インフレーションの詳細は、超高温の初期宇宙で適用できる具体的な素粒子理論に依存し、まだ不明な点が多い。だがその詳細によらず、インフレーションの継続時間は素粒子理論のモデルやパラメータに依存して容易に変わることは間違いない。x=26がありうるなら、理論的には、それが52だろうが78だろうが、あるいはもっと大きくても不思議はないのである。

となると、実際のインフレーションのxが、観測事実から要求される下限の26にぴったり一致するとか、極めて近い(例えばx=27)というケースは、ありえなくはないが「不自然」ということになる。
はるか昔にインフレーションで一様にならされた領域の大きさが、たまたま、我々が生きる宇宙誕生後138億年の自転での地平線に含まれる領域と、ぴったり一致しなければならない理由はどこにもないのだ。むしろ、xの真の値は26をある程度超えていて、その26を上回る超過分も26程度はあると考えるのが自然である。
例えば、100点満点で、50点以上が合格の試験があった。ある人が合格したことがわかっているが、その点数はわからない。あなたはその人の点数を予想する。このとき、50点ピッタリとか、51点といった予想をする人は少ないであろう。60点以上80点以下、といった予想の方が、はるかに当たる確率が高いはずである。

つまり真の宇宙は、観測可能な宇宙のさらに1026倍程度には広がっていると考えるのが自然であり、この26という数がさらに2倍,3倍となっても何の不思議もない。
その詳しい値こそ予言不可能であるものの、これがインフレーション宇宙論が予想する宇宙の真の大きさである。

大きさが1026倍なら、体積はその3乗、つまり1076倍となる。観測可能な宇宙に含まれる太陽のような恒星の数はざっと1022個であったから、インフレーション宇宙全体では、実に1022×1078=10100個の恒星が含まれるのが自然というわけである。

1026の「26」という数がさらに2倍,3倍大きいケースであれば、含まれる恒星の総数は実に10178,10256個に膨らむ。これもインフレーション宇宙の観点からは想定の範囲内なのだ。

インフレーション宇宙での生命誕生

というわけで、とにかく宇宙は広大である。我々が観測可能な1022個という膨大な数の恒星も、インフレーション宇宙全体に比べれば、極めて微小な領域に過ぎない。

地表における地平線内の面積は地球全表面積の650万分の1であったが、宇宙の地平線内の体積は宇宙全体の1078分の1というわけだから、さらに圧倒的に小さな領域である。

そして、地球以外に生命が見つかっていない現状では、10100個の恒星を含むこのインフレーション宇宙全体で生命が多数発生してさえいれば、我々がこの宇宙に存在している事実と矛盾はない。宇宙全体を1078個という膨大な数の区画に分けたとき、その極めてちっぽけな領域である各区画ごとに生命が発生していなければならない必然的な理由は何もないだ。

ドレイクの式に立ち返れば、あのパラメータflの値が極めて小さくても、10100分の1より大きければ問題はないということである。

ランダムな化学反応では、「観測可能な宇宙」全体を考えても生命は発生できないというが、「インフレーション宇宙」全体なら、もしかしたら単純な化学反応の積み重ねで生命は発生できるのではないか?

原始生命をゼロから作ることの難しさは、塩基L個の長さのRNAを作る場合、ランダムな化学反応ではそれがつながる確率がL!分の1で減少し、また、可能な遺伝子4Lで急激に増大するためであった。L!も4Lも、Lに対して倍々ゲーム,ネズミ算式に大きくなるのが厄介だ。
しかし宇宙のインフレーションもまた、倍々ゲーム,ネズミ算式に恒星の数を増やすことができる。

原始生命誕生の困難さを解決するための本質は、インフレーション宇宙にあるのではないかと考えたのだ。

ここまで語ってきたことを踏まえて、生命の起源という問題について、本書籍での筆者の考えをまとめておこう。

「半径138億光年という広大な宇宙を考えても、ランダムな化学反応から生命が偶然にできあがる確率は極めて低い」という従来の問題は、さらに圧倒的に広大なインフレーション宇宙全体を考えれば、実は解決できることがわかった。

これは自然科学の枠組みの中で、原始生命が物理法則に基づいて誕生する道筋が、少なくとも1つは存在することを意味している。

生命の起源は科学の範囲で理解可能であり、一見、確率が非常に低いからといって、神や超科学的なものを持ち出す必要はないということだ。

もちろん、現時点ではこれは一つの仮説にすぎない。

実際の原始生命の発生プロセスは、まったく異なるものである可能性も十分に残されている。そしてもし、ランダムな化学反応よりずっと効率よく、短時間に長鎖のRNAを合成する未知のプロセスが実在するのであれば、宇宙における生命の発生数はここでの見積もりよりずっと多くなる。

将来、地球外生命を見つけたいと思うならば、そうした可能性に託すしかない。
もちろん、地球外生命が見つかるなら、それはとても興奮すべきことだと思う。この半径138億光年の中にある膨大な数の銀河と恒星のなかに、生命は地球だけなんて寂しすぎるという気持ちもよくわかる。

しかし冷徹に、そして科学的に考えたとき、我々が知るすべての観測事実を説明する上で、そのような未知のRNA合成プロセスなどなくてもよい、その必要がない、というのもまた事実なのだ。

ではその場合、地球とはとてつもなく希少な、特別な惑星となるのだろうか?

そんなことはない。宇宙において普通の存在であるということと、我々が同類を近くに見つけられるかどうかは別の話だからだ。

宇宙の地平線内で生命が我々だけだとしても、インフレーションで生まれた宇宙全体には、自然な化学反応から誕生した生命を育む惑星が多数存在しているはずである。

そこに神の意志や超科学的なものが入りこむ余地はない。その意味で、我々はやはりありふれた存在ということになる。

地球で喩えるなら、大都市というものが存在せず、半径5kmの地平線内に1つ以下の集落しかないような状態を想像すればよい。

そんな地球で生きる人類は、それぞれの地平線の中では唯一の存在かもしれないが、地球全体でみれば特別な存在でもなんでもないのである。

地平線の向こう側にいる友人に連絡する手段がないことだけが残念だ。

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最後に、これだけ神や超科学的なものを必要としないと言いながらも、諦観にも似た筆者の想いを述べた一節を紹介しよう。

アインシュタインの言葉を一つ引用しよう。

「私が本当に知りたいのは、
神がこの世界を想像するうえで、
何らかの選択をしたかどうかである。」

宇宙になぜ生命が存在するのか、その謎を探る旅も結局、このアインシュタインの述懐に帰着してしまうようである。

筆者は小学生時代の大半を、フィリピンのマニラで過ごした帰国子女である。
当時は道路が遊び場で、焼けつくまっすぐな道路の彼方に、よく「逃げ水」を見た記憶がある。灼熱の路面に熱せられた空気によって光が屈折し、あたかも道路が水に濡れているように見える現象である。

生命の起源とか、生命の不思議さの根源とか、そういった我々が本当に知りたいことは、どれだけ科学が進歩しても逃げ水のように我々から逃げていってしまうのではないか?
もちろん、自分で道を歩き、それが真の水ではないことを確認すれば、それは一つの進歩であろう。だが本当に知りたいことは、無味乾燥な物理法則の壁に阻まれて近づくことができない。

神だかなんだか知らないが、この世界はそのように作られているのではないか?
そんな一抹の不安を、打ち消すことができないでいる。

ここまで紹介したのは宇宙における生命誕生の仮説のほんの一端に過ぎない。

もっと知りたいと思ったら、専門書を読みふけって、「知識の宇宙」へ探索に出かけよう。

目指せ!!宇宙の住人(笑)!!これぞ賢者への道程!!

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