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ニュートリノを知りたい

量子論

2002年に小柴昌俊先生がニュートリノ検出の業績で、2015年に梶田隆章先生がニュートリノ振動の発見でそれぞれノーベル物理学賞を受賞された。

茨城県東海村のJ-PARCから岐阜県神岡町にあるスーパーカミオカンデに向けて、日本アルプスをまたぐ(というか地下を通る)壮大なニュートリノ実験は今現在も行われており、日本が誇る世界最先端の一大研究テーマとなっている。

誰しも一度はニュートリノという言葉をニュースで観て、興味を持ったことがあるだろう。

そんなニュートリノを知る上でのポイントを3つ挙げるとすれば

① ニュートロ(中性) + イノ(小さい粒子) → 「ニュートリノ」
② 真空中でほぼ光と同じ速さ、水中では光より速い
③ ニュートリノ振動が「宇宙に物質が存在する」という謎を明らかにする

さてさて、これらをかいつまんで説明しよう。

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素粒子で最も小さイーノ

ニュートリノの歴史を紐解くと、それは20世紀前半の中性子崩壊(β崩壊)の実験に遡る。

n(中性子) → p(陽子) + e(電子)

この現象について崩壊前後の質量変化と各粒子の運動量を計測したところ、なんと反応前後でエネルギー保存則が成立していなったのだ!!

反応後の方がやや総エネルギーが小さく、物理学の基本法則が破れているよう思われた。

この謎に対して、偉大なる物理学者ヴォルフガング・パウリが未知の粒子がエネルギーを持ち出している説を唱え・・・そこからなんと26年の歳月を経て、実際にその粒子が観測されたのである!!

その粒子は、反応前後で電荷が保存することを考えれば「中性」である。
その粒子は、エネルギーが非常に「小さい」。他の粒子との反応性も非常に「弱い」。

これら情報から、「弱い力」の提唱者エンリコ・フェルミが ニュートロ(中性)とイノ(小さい粒子)というイタリア語から「ニュートリノ」と命名したのが始まりである。

なお、フェルミによる上記β崩壊に弱い力を導入したモデルは、

n(中性子) → p(陽子) + e(電子) +反νe(反電子ニュートリノ)

であり、「反」や「電子」で区別されているように、ニュートリノは現在6種類もあるのだ。

νe:電子ニュートリノ
νμ:ミューニュートリノ
ντ:タウニュートリノ
(これら3つに加え、それぞれの反粒子ニュートリノで計6種)

水中では光より速イーノ

2011年スイス-フランスの国境にある巨大加速器CERNで発生させたニュートリノの観測で、「ニュートリノは光より速い」という結果が発表され、物理学分野では大騒ぎとなった。

それが本当ならば、現代物理学の土台でもある相対性理論が破綻してしまうからだ。

結局、機器の接続不良などによる測定誤差だったわけだが、同時に、若干遅いとはいえニュートリノは「ほぼ光速」であるということも明らかになった。

光とニュートリノは発生メカニズムも素粒子としての性質も全く異なる。

なのになぜここまで速さが近いのか?

今のところ、相対性理論を構築するミンコフスキー幾何学が時空間の実態を表しており、速さの上限が光速だと考える以外に説明する方法は見つかっていない。

この実験結果は相対性理論を破綻させる代わりに、逆にその正当性を補強しているのだ。

そんな「ほぼ光速」のニュートリノだが、条件次第ではなんと光より速くなる!!

ニュートリノには弱い力しか作用しないため、例えば、光が水分子と相互作用してしまう水中では、ニュートリノは「ほぼ光速」のままで光より速くなる。(あくまで「水中の光」であって、真空中の光速を超えることはない。)

確率は極微小だが、そんなニュートリノと水の各原子核中の中性子が反応→崩壊が起こる。

その過程で放出される電子もまた、水中の光よりも速くなり、光版ソニックブーム的な発光現象を引き起こす。(ソニックブームは音速を超えたときに発生する衝撃波のこと。)

ニュートリノ実験では、この「チェレンコフ光」という青白い発光現象を、スーパーカミオカンデ内の貯水タンクの中で計測しているのだ。

νe⇔νμ⇔ντに変わリーノ

結論から言おう。

現在の宇宙に物質が存在するのは、「陽子と反陽子」・「電子と反電子」それぞれのペアの対称性が崩れて、陽子と電子側にほんの少し傾いているからである。これを、電荷と空間の対称性から「CP対称性の破れ」という。

・・・なるほど、分からん(笑)

さらに進めよう。

2008年にノーベル物理学賞を受賞された小林誠先生と益川敏英先生が提唱する理論では、クォークに3世代モデルを導入することでこのCP対称性の破れを説明しており、実際の実験結果でもクォークのCP対称性の破れは(間接的にだが)観測されている。

さてここで序文に立ち返り、ニュートリノ振動を簡単に説明すると、

 νe ⇔ νμ ⇔ ντ  (νe ⇔ ντの変化もある)

というレプトン3種類の変化・遷移である。

このように、電子・ミュー・タウというレプトン3種類をクォークと同様に「3世代」としてモデル化すれば、レプトンでのCP対称性の破れが説明できる。

これらクォークとレプトン両方のCP対称性の破れを証明することで初めて、陽子(クォーク)と電子(レプトン)側にほんの少し対称性ペアの割合が傾いて、現在の宇宙に物質が存在するようになった謎が説明されるのだ。

・・・なるほど、ちっとも分からん(笑)

正直これは先端領域なので、分かりやすい言葉での説明が難しい・・・悪しからず。

そんなニュートリノを学ぶとしたら、まず下記のインプットをおすすめする。

素粒子分野は大学院専門課程の領域なので、初学者向けの入門書を探すのが難しい。

それでも敢えて参考書を挙げるならば↓になる。値段は・・・うわぁ・・・やっぱり高い(笑)

ニュートリノ・・・日本が誇る最先端のテーマ、もっとも小さい謎の素粒子

そんなニュートリノを学ぶなら…この記事ではその一歩目におすすめの本を紹介した。

ただし注意!!これらはインプット!!

さらに深く習熟したいなら専門書や演習問題などのアウトプットをお忘れなく。

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