この記事では電磁波に関する面白い豆知識を3つほど紹介する。
参考は↓の書籍。身近な物理を数値的に解説している、ブログ主の書庫の守り神。
「身近な物理をもっと知りたい!!」って人は下記記事も参照されたし。
意外と遅い!? 光速とコンピュータの演算速度
さていきなりだが、光の速度は秒速3億mである。
これはものすごい速さだが、見方によってはずいぶん遅いとも言える。
最新のコンピュータが1回の演算にかかる時間は、10億分の1秒(=1ナノ秒)だ。
もちろん、もっと速いものもたくさんあるが、ひとまず1ナノ秒を標準的としよう。
すると、1ナノ秒の間に光は30cm程度しか進めない。
だから、コンピュータは小さくしなければならないのだ。
コンピュータは、演算のためにしばしば情報を取り出さなければならないが、もし情報のある場所があまりにも遠いと、情報を得るために何周期も無駄にしてしまうことになる。
もしコンピュータの速度が3GHzなら、光は1周期で10cm程度しか進めないのだ。
相対論の要請で光速は速度の上限であるが、こう考えると意外と遅いものである(笑)
電気とカエルの足とフランケンシュタイン
1786年、電気の先駆者の一人であるルイジ・ガルバーニは、静電気の小さな火花の電流を死んだカエルの足に流すと、足がけいれんすることを発見した。
この後、ガルバーニは雷がきたときに、カエルの足を金属のフックに刺して、家の外に吊るすようにしたという。(当時、電気は簡単にはつくれなかったのである。ガルバーニ自身、このときはまだ電池を発明していなかった。しかし、ベンジャミン・フランクリンは雷が電気であることは既に発見していた。)
ガルバーニは、カエルの足が生き返ったのだと考えたが、これは間違いであった。
実際は、電気が筋肉を収縮させる信号になっただけである。
しかし、ガルバーニは生命の秘密を発見したと信じて、これを「動物電気」と名付けた。
1817年、ガルバーニの実験から閃きを得たメアリ・シェリーは、最も初期の古典的SFのひとつ、「フランケンシュタイン」を創作したのだ。
ガルバーニが電気でカエルの足が生き返ったと考えたのとまったく同じように、シェリーが創り出した架空の人物フランケンシュタイン博士は、雷を使えば死んだ人間を生き返らせることができると考えたのだ。
フランケンシュタインの物語は、科学者がどんなことに利用されるかを考えずに新しいテクノロジーを開発すると、どんな結果になるかということを示す象徴になった。
いま一部の人たちは、このフランケンシュタインにちなんで、遺伝子組み換え食品を「フランケンフード」と呼んで揶揄している。
個人的には、「知りたい」と願い、技術の発展を突き進むのは人類のS・A・G・Aと思うが・・・はてさて。
地磁気は宇宙線からの防御に大きな影響を与えない
電線を流れる電子が磁場からの力を感じるのとまったく同じように、宇宙空間からやってくる宇宙線は地球の磁場からの力を感じて、進路が歪められる。
つまり、地磁気(地球の磁気:地球中心部と地表の中間にある溶鉄の流れによって発生すると考えられている)は、大量の宇宙線粒子が地球大気の上層部に衝突するのを防いでいるのだ。
この地磁気だが、溶鉄の流れやそこにある電流の向きのカオス的振る舞いによって変化が起きるとされており、100万年ごとに向きが逆転しているという事実が地質学や気候研究で明らかになった。
では、磁気逆転によって地磁気が崩壊すると、地球上の生物が宇宙からの死の放射線にさらされるのではないか?
こうした考えが一部のSF映画などによって広く世間に行きわたっているが、間違いである。
磁場が崩壊したときには、確かに地球の大気の上層部に衝突する宇宙線の量が増える。しかし、本当に地球を守ってくれているのは大気なのだ。実は、磁場がなくても地球の表面まで達する宇宙線はほんの数%しか増えない。だから、磁場の崩壊が生物に深刻な影響を与えることはないのだ。
カナダ北部の磁北極(地理上の北極ではなく、磁場が集まる本当の極)では、すべての磁力線が内側に向いているため、まったく磁場が形成されない。しかし、この地域に降り注ぐ宇宙線の量は、赤道よりもほんのちょっと多いだけである。これも、ほとんどの宇宙線を防いでるのが大気だという証拠である。
実は、世界中の多くの優秀な科学者まで、地球の磁場が宇宙線から私たちを守っていると勘違いしているのだ。
最近も、この前提に基づいて、地球の磁場が逆転する間に起こる災厄について話し合うインターネット放送の番組があった。
しかし、そんな心配は無用なのである。
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ここで紹介したのは電磁波についてほんのひとかけらの豆知識である。
もっと知りたいと思ったら、専門書を詰め込んで、「理学の頂」の山登りに出かけよう。
目指せ!!理学の友人(笑)!!これぞ賢者への道程!!
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