△日朝、○○氏が全身を強く打った状態でみつかり、まもなく死亡が確認された。 警察の発表によると、死因は巨大磁石によるものとみられている。
…はぁ? どういうこと? 磁石で人って死ぬの?
まぁこんな極端な事例はそうそうないだろうけど、行きあたりばったりに誰かの死亡記事を読んでいて、死因に興味を持ったり、「不慮の事故」といったあいまいな記述で片付けられていることにもやもやしたことはないだろうか?
仮に死因が書かれていたとしても、記事はすぐに遺族の話に移ってしまい、「そんなことで命を落とすことなんてあり得るの?」という一番肝心なことに触れてくれない。
そんな疑問に答えるべく、本記事で紹介する書籍のテーマはずばり「死に方の科学」。
作者いわく、「スティーブン・キングとスティーブン・ホーキングを足して2で割ったような本」。前者は有名なホラー作家、後者はいわずとしれた天才物理学者(科学名著として、いつぞやの記事で紹介済)である。
この本↓はその二人が合体するにふさわしく、真面目で不気味な死の科学を、ブラックユーモアにくるんで不謹慎なまでに軽快に、面白く且つわかりやすく語っている。
そんな本書で取り上げられている死のシナリオはなんと45通り!! ご覧あれ!!
もしもこんな↓ことが起きたら…あなたはどう死ぬ? 1 旅客機に乗っていて窓が割れたら 2 ホオジロザメにかじられたら 3 バナナの皮を踏んだら 4 生きたまま埋葬されたら 5 ハチの大群に襲われたら 6 隕石が当たったら 7 首がなくなったら 8 世界一音の大きいヘッドフォンをつけたら 9 次の月着陸船にこっそり乗りこんだら 10 フランケンシュタイン博士の装置に縛りつけられたら 11 乗っているエレベーターのケーブルが切れたら 12 樽の中に入ってナイアガラの滝下りをしたら 13 眠れなかったら 14 雷に打たれたら 15 世界一冷たい風呂に入ったら 16 宇宙空間からスカイダイビングしたら 17 タイムトラベルをしたら 18 人混みで将棋倒しに巻きこまれたら 19 ブラックホールに身を投げたら 20 タイタニック号に乗っていて、救命ボートが見つからなかったら 21 この本に殺されるとしたら 22 年を取ったら 23 ○○に閉じこめられたら 24 コンドルに育てられたら 25 生贄として火山に投げこまれたら 26 ただひたすらベッドで寝ていたら 27 アメリカから中国まで穴を掘って、その中に飛びこんだら 28 「プリングルス」の工場見学をしていて、機械の中に落ちたら 29 100万発の弾が入る拳銃でロシアンルーレットをしたら 30 木星まで旅行したら 31 世界一有毒な物質を口に入れたら 32 「核の冬」に見舞われたら 33 休暇を取って金星に行ったら 34 無数の蚊に刺されつづけたら 35 本物の人間大砲となって撃ちだされたら 36 ○○がエンパイアステートビルの屋上から降ってきたら 37 誰かの手を「本当の意味で」握ったら 38 虫眼鏡の下のアリになったら 39 粒子加速器に手を突っこんだら 40 読書中にいきなりこの本がブラックホールになったら 41 とんでもなく強力な磁石をおでこに当てたら 42 クジラに飲みこまれたら 43 潜水艦で深海に潜っているときに外に泳ぎに出たら 44 太陽の表面に立ったら 45 クッキーモンスター並みに大量のクッキーを食べたら
そうそうたる顔ぶれであろう(笑)
この中には今にでも起きそうな筋書きもあれば、今世では巡りあいそうにない設定もある。
それぞれについて、一部は可能な限り最先端の研究に基づく推論も交えながら、あなたが具体的にどのように死ぬかを描いてくれている。
もっとも人間である以上は、心臓が止まって脳死を迎えるという、最後の最後のところにそうそう違いがあるわけではない。
だからこそ、個々の死のプロセスを様々な科学知識も盛りこんで演出している本書は蠱惑的であり、驚きとリアリティに溢れる、ありそうでなかった一冊となっているのだ。
さてこの記事では、そんなラインナップの中で個人的に是非とも紹介したいトピックをチョイスしよう。乞うご期待!!
底なし沼にはまって抜けられなくなったら…
ハリウッドが声高に叫んできた数々のリスクのなかでも、一番大げさに誇張されているのが「底なし沼に吸いこまれて苦悶の死を遂げる」じゃないだろうか。
あなたがどんな映画を観てきたかは知らないが、底なし沼に呑みこまれて死亡したと確実にいえる事例は実は一件もない。一件もだ。
干潟で泥にはまって身動きがとれなくなり、潮が満ちてきたときに溺れたという人が何人かいたかもしれない。だが、せいぜいその程度である。
「底なし沼」とは俗称で、正式には「流砂」という。
なぜ流砂が危険じゃないかといえば、その中であなたは浮くからだ。
流砂の比重は水の約二倍あり、あなたがすでに水に浮くのはご存知の通り。
流砂に踏みこんじゃったとしても、臍のあたりまで沈むのが関の山。
厄介なことになるとしたら、頭から飛びこんだときだけだろう。
それさえ避ければ大丈夫だ(笑)
結論: 底なし沼で死ぬことが考えられないわけじゃないが、 それをやったらあなたが人類史上初になるかもしれない。
死ぬかもしれないリスクを減らす、少しだけましな提案(笑)
あなたが中年だったら、ベッドから出るだけで100万分の1の確率で命を落とす。
それだけじゃない。
車を運転して仕事に行ったり、屋根の雨どいを掃除したり、側溝にはまった格子の蓋の上を歩いたりすることで、日々小さなリスクをさらに積みあげている。
「だったら、ずっとベッドに入っていたい!!」
あなたがそう思うのも無理はない。
けれど、本当にそうするつもりなら考えなおしたほうがいい。
ベッドから出ず寝たままでいると、むしろ死亡するリスクが大幅に高まることがわかっているからだ。
(本書では、血栓による心臓発作や脳卒中のリスク、褥瘡感染による敗血症の可能性をこの項で説明しているが大胆に割愛する(笑)。悪しからず。)
ただベッドで寝ているだけで、これだけの大事になるわけだ。
だから、普通に暮らすだけで死ぬかもしれないリスクを減らしたいなら、もう少しましな提案をさせてほしい。
何よりもまずベッドから出て、そして交通事故・自然災害の少ない地域に住もう。
車の運転もやめたほうがいい。ハンドルを握っていると、死ぬ確率が370kmごとに100万分の1ずつ増える。代わりに電車を利用しよう。自動車と同程度のリスクに達するまでに5000km近く進める。
結婚もしておこうか。それで寿命が10年延びるから。
一番危険な仕事は養護施設で働くことで、僅差で消防が続く。(おそらく国・地域差あり)
じゃあ、最も安全なのは? お金を扱う仕事だ。
結論: ベッドから出て結婚し、 治安がよくて自然災害・交通事故の少ない街(アメリカならボストン)に引っ越し、 公認会計士にでもなって、 電車通勤するといい。
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ここで紹介したのはおすすめ書籍で語られているトピックのほんの一部である。
もっと知りたいと思ったら、是非とも本書を手にとって欲しい。
ちなみに、休憩時間中に本書を読んでいたら、同僚から「サイコパスか」とつっこまれた。
…うん、内容が内容なだけに、職場(病院)で読む本じゃないな(笑)
いっぺん、死んでみる?(世代がバレそう(笑)) これぞ賢者への道程!!
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