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ブラックホールを知りたい

相対論・宇宙

ブラックホール…あらゆるものを吸い込む時空の穴。

それは、宇宙に存在するもののなかで、最も奇妙で謎に満ちた天体である。

「ブラックホール」という名前は、学術用語でありながら広く一般に知られており、「巨大な重力のせいで光すら脱出できない」といった基本的な性質を知る人も少なくないだろう。

しかし、ここ数十年の観測により、天文学者が描くブラックホール像は大幅に変化した。

宇宙空間のどこかに潜み、うっかり近づいた哀れな宇宙船を引きずり込むアリ地獄のような見方は、もはや過去のものである。

現在では、その周囲に輝く円盤をまとい、星間物質を攪拌する巨大エンジンという、ダイナミックなイメージで捉えられている。

この記事ではそんなブラックホールの概要を紹介する。

参考は↓の書籍。興味をもったなら是非ご一読あれ。

ブラックホールのポイントを3つ挙げるとすれば、

① ブラックホールとは「事象の地平面」が形成された天体
② 恒星サイズのブラックホールと超巨大ブラックホールの2種に大別される
③ ブラックホール・降着円盤・ジェットがブラックホール研究の三種の神器

さてさて、これらをかいつまんで説明していこう。

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剣:事象の外と内を一刀両断

ブラックホールの基本性質は、相対論を構成する二つの法則を知っていると理解しやすい。

一つは、自然界の最高速度が光速だという法則で、物体をどんなに加速しても、光速を超えることはできない。

もう一つは、遠心力のような慣性力が加わっている座標系では、同じ大きさの重力が存在する場合と等価な物理現象が起きるという法則で、「等価原理」と呼ばれる。(等価原理により、窓を閉めた宇宙船が宇宙空間を加速度1Gで加速している場合、宇宙船の乗客にとっては、地表と同じ重力が船内に働いているのと区別できない。)

詳細は一般相対論の専門書に譲るが、無重力の宇宙空間を加速度運動する宇宙船において、宇宙船の速度は光速に近づくにつれて伸び悩み、時間座標tと空間座標xを用いたグラフでは光速を示す線に漸近する。

光速を超えることになるため、この光線を内から外に横切るような運動はできない。

したがって、この光線の内側からの情報は外側には決して得られないため、いわゆる「情報の地平線」となるのだ。

等価原理は、慣性力と重力が実質的に等価であることを意味するので、天体の重力が実際に加わっているときにも、このような地平線が現れるはずである。

加速度運動する宇宙船の場合、情報の地平線は、その彼方の情報を受け取れないパイロットにとってのみの地平線だった。一方、天体の重力による地平線は、その彼方の情報が物理的に伝達されないリアルな限界領域であり、このため、情報の地平線と区別して「事象の地平線」と呼ばれる。

通常の天体の周囲に存在する程度の重力では事象の地平線は現れない。

しかし、何らかの方法で星を極限的に圧縮できた場合、その表面付近での重力は極めて強く、事象の地平線が天体周囲をぐるりと取り囲んで形成される。(このため、事象の地平面と言われることもある。)

ブラックホールとは、天体の周囲を取り囲むように事象の地平面が形成された天体を指す。

ひとたび地平面の内側に飲み込まれると、光であろうと物質であろうと、地平面の外に出ることは決してできないのである。

勾玉:異なる2つのブラックホール

ブラックホールは大きく2種類に分類される。

太陽の数倍から数十倍程度の質量しかない恒星サイズのブラックホールと、太陽の数百万倍から100億倍以上の質量を持つ超巨大ブラックホールだ。

通常「ブラックホール」として説明されるのは前者の方であり、100年近く昔から提唱されてきた歴史があるが、後者はここ数十年の観測によって明らかにされた新参者である。

どんな物質であろうと、充分に圧縮すればブラックホールになる。

太陽も半径3キロメートル(現在の大きさの23万分の1)まで小さくすることができれば、事象の地平面が形成されてブラックホールとなる。

しかし、何らかの外部圧力、例えば超新星爆発クラスの衝撃波であっても、ここまで物質を圧縮するのは無理である。

現実に可能なのは、巨大な質量を持つ天体が、自分自身の重さを支えきれなくなって潰れるケースに限られる。

前者は、太陽の約30倍以上の質量を持つ恒星が寿命を終えた後に、超新星爆発を経て誕生する。(前述のように、超新星爆発そのものの圧で誕生するわけではない。)

一方、後者は宇宙の早い時期から銀河の中心領域に存在し、銀河の進化を左右してきた。

2015年の重力波観測でその存在自体も直接観測された前者と違い、後者は理論提唱の歴史も短く、最近の観測データに基づいた概念であり、その誕生過程もまだ謎が多い。

ブラックホールといえども、周囲の星やガスを飲み込みながら太陽質量の何百万倍に成長するには、現在の宇宙の星間や銀河間のサイズが大きすぎるのである。このため、超巨大ブラックホールは現在とは異なる初期宇宙の特殊な環境が起源にあると考えられている。

昨今のブラックホール研究といえばもっぱら後者の観測が主体であり、天の川銀河の中心(いて座Aスター)やおとめ座のM87の中心核にあるブラックホールが主たる対象となっている。

鏡:種々の「望遠鏡」を使ったブラックホール研究

古代から近代にかけて、天文学は望遠鏡による観測をベースに発展してきた。

19世紀~20世紀初頭には、分光学(スペクトル)がさらに天体の研究を加速させた。

20世紀中盤から現在では、可視光だけでなくX線や電波を測定する新しい「望遠鏡」によって、さらなる宇宙の観測も行われるようになった。

これと並行して理論的な研究も進み、ブラックホールの基本描像も確立されてきた。

それは、中心に「ブラックホール」が存在し、そこへ円運動を描きながら飲み込まれる(天文学用語で降着と呼ぶ)ガスが「降着円盤」を形成しつつ莫大なエネルギーを放射するとともに、ガスの一部が「ジェット」としてそこから飛び出していく、という描像である。

こうした「ブラックホール」と「降着円盤」と「ジェット」という3つの成分は、ブラックホール研究の3種の神器なのである。

現在では、こうした3成分から成り立つ単純なシステムにもかかわらず、ブラックホールはその活動性・電波の強弱と変動と形状・スペクトルの有無などで多様な個性を持つことがわかっている。

また、地球規模の観測によって、超巨大ブラックホールは回転しているのか?降着円盤の構造は?ジェットの加速・絞り込み機構は何か?そもそも超巨大ブラックホールと降着円盤は直接観測できるか?…などなど、3成分の謎に対する様々な研究も盛んに行われているのだ。

加えて、量子力学的な現象と一般相対性理論による現象の極限的な交差点であることから、いわゆる「万物の理論」の足掛けである量子重力理論の研究もブラックホールの理解から進んでいくと考えられている。

このように、今も昔も研究者の心をつかんで「二度と抜け出せない」魅力をはなつ、不思議な性質と謎にあふれる「究極」の天体…それがブラックホールなのだ。

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ここで紹介したのはブラックホールの概要と研究のほんの一部である。

もっと知りたいと思ったら、専門書を読みふけって、「知識の宇宙」へ探索に出かけよう。

目指せ!!知的好奇心生命体(笑)!!これぞ賢者への道程!!

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