半導体・・・超電導・・・分子シミュレーション・・・ソフトマター・・・トポロジカル物質・・・
20世紀最強の発明品といえばトランジスタであり、それら半導体原理を含めた、物性物理学という領域は現代科学文明の骨幹を成しているといっても過言ではない。
(「物性物理学」という呼称は日本独自のものであり、欧米では一般的に「凝縮系物理学」と呼ばれることが多い。)
量子力学や宇宙物理学と並び立つ、物理学の一大領域である物性物理学。
そんな物性物理学を一から学ぶポイントを3つ挙げるとすれば
① ミクロとマクロをつなぐ領域
② 現象のサイズ・状態に応じた様々な派生分野
③ 次世代半導体と高温超電導が激熱トピック
さてさて、これらをかいつまんで説明しよう。
「単体」から「多体」へ、つながる領域
素粒子・原子、そして分子レベルの挙動を描くのが量子力学と量子化学。
実際の現象をみていくのが有機化学・無機化学・流体力学・機械工学・半導体工学・・・etc.
これらミクロ描像とマクロ描像の間の「メゾスコピック領域」については、近代までブラックボックス化しており、なかなか理学体系を構築することが困難であった。
その理由として考えられるのが、いわゆる「多体問題」である。
近代科学における「要素還元」は、古典から知られていたマクロな現象を分解して、ミクロな現象に落とし込むのに成功した。
しかし、逆に一つ一つのミクロな現象を複数集めてマクロな現象を記述しようとすると、莫大な要素から成り立つ計算が必要であり、困難を極めた。
例えるなら、ある関数の微分は簡単だが、積分は難しいといったところか。
それが現代になって、計算機の急速かつ大幅な進化、モデル化や近似化の洗練による計算手法の発展などが起こり、単体を集めた複雑な系の記述が可能となったのである。
物性物理学はこうした背景で、ミクロとマクロをつなぐ領域として構築されていった。
気体・液体・固体・・・だけじゃない
物性物理学の各分野はそのサイズと状態によって細分化される。
基礎の土台として、量子力学・量子化学によるミクロ領域の体系と、それらを多体的に取り扱う手法である熱統計力学がある。
そこから、気体・液体を主に扱う「物理化学」、固体を主に扱う「固体物理学」に広がり、液体・固体にまたがる「ソフトマター物理学」、表面・界面を研究する「表面物理学」や「界面化学」などの分野も生まれていった。
さらに電気工学的な応用である「半導体物理学」、有機合成や化学反応をシュミレーションする「計算化学」(これ自体を量子化学に含める考えもある)、第四の状態であるプラズマを扱う「プラズマ物理学」、生物現象を記述する「生物物理学」や「生化学」・・・etc.
一口に「物性物理学」といっても、これだけ多岐に渡っており、シンプルな系から複雑な系への発展がいかに幅広い裾野になっていったか良く分かる。
知らなきゃ勿体ない!!次々生まれる激熱トピック
そんな物性物理学の流行りを挙げるとすれば、近代~現代の文明技術を支える「電気エネルギー」との関わりが真っ先に考えられる。
トランジスタなどを構成する半導体素材をさらに性能進化させた「次世代半導体」、常温付近での電気抵抗がゼロである「高温超電導体」あたりは、それだけで科学技術を大進化させる、まさに激熱トピックである。
また、それらに知名度では劣るが、相転移を応用したトポロジカル物質、再生可能資源をベースにモノを作り出す生物素材化学などなど、その幅広い分野には文明を発展させうる研究が次々と生まれ続けている。
これらに関しては、おすすめ書籍が見つかり次第、記事にするので乞うご期待。
そんな物性物理学を一から学ぶとしたら・・・初学者向けの本を選出するのが難しい・・・
分野も幅広いため、どうしても↓に挙げるような基礎分野の専門書始まりになってしまうので悪しからず。(やはりお値段も高い・・・興味ある人だけポチられよ。)
物性物理学・・・激熱トピックが跳梁跋扈する、現代~未来の科学技術の根幹領域
物性物理学を一から学ぶなら…この記事ではその一歩目におすすめ参考書を紹介した。
これらは演習問題も豊富なのでアウトプットも問題なし!!
さらに深く習熟したいなら別領域や応用分野の専門書もチャレンジされたし。
目指せ!!物性物理学マスター!!これぞ賢者への道程!!
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