日々の仕事の合間に、少~しづつ読んできた相対論と宇宙に関する理学書籍たち。
古いものは購入したのが今年の5月なのに、非常にボリュームがあって、百万光年(誤用(笑))かけて最近やっと読破。
…てなわけで、今回は2023年後半戦を共に過ごしてきた(?)、相対論・重力・宇宙に関する各おすすめ理学書籍を紹介しようではないか。それぞれが非常に示唆に富んでおもしろかったので、是非ご一読を。
(なお、相対論や宇宙に関する総合的なレビューは下の記事を参考されたし。)
一般相対性理論入門 ~おなじみロヴェッリ先生節が炸裂する名著~
世の中には、 私たちを強く感動させる絶対的な傑作が存在する。 モーツァルトのレクイエム、オデュッセイア、システィーナ礼拝堂、リア王…… これらのすばらしさを理解するには、 時として見習い期間が必要になるかもしれない。 しかし、 これらの作品は純粋な美しさをもち、 しかもそれだけではなく、 私たちに世界の新しい見方を与えてくれる。 アルベルト・アインシュタインの宝石である一般相対性理論は、 そのような傑作の一つだ。 (本書 序文より抜粋)
う~む……相も変わらずの文学的な表現。しびれます(笑)
毎度おなじみ、ループ量子重力理論の第一人者で、ブログ主の心の中の指導教官(?)でもあり、多くの話題作を生み出しているカルロ・ロヴェッリ先生が、一般相対性理論の概念的な構造と基本的な結論を簡潔に説明してくれている書籍↓。
ロヴェッリ先生曰く、「専門家になる野心のない人向け」とのことだが、哲学的考察も含め、相対論の基盤に対する解説の内容は深い。
必要となる数式は記載されており、単なる一般向け書籍以上の雰囲気を味わえたので、リーズナブルな価格の割に、楽しめた一冊だった。
重力のからくり ~「からくりシリーズ」の最新作~
おなじみ、講談社ブルーバックスの人気シリーズ!!
(ブログ主は↓の書籍以外に読んだことがない!! おいコラ(笑))
これまでの著作と同様(読んだことはないが(笑))に、物理学の詳しい知識をもたない人を前提に書かれていて、イラストも多く、非常に分かりやすかった。他の「からくりシリーズ」も買おうかな…(笑)
① 「質量」と「重さ」のからくり:「kg=重さの単位」ではなかった! 「質量と重さの違いとは?」「力とは?」といった素朴な疑問について考えながら、重力を理解するための準備運動をおこなう。 キーワード:慣性質量、重力加速度 ② 「万有引力」のからくり:アリと地球が引き合う力はどちらが強い? 万有引力がどうはたらくのかを確認しながら、ニュートンの考えた重力を紹介する。 キーワード:重力質量、等価原理 ③ 「質量保存の法則」とエネルギーのからくり:掟破りを許す"曲者"物理法則とは? 質量保存の法則と不確定性原理が引き起こす常識はずれの現象を体感してもらう。 キーワード:ラム・シフト、カシミール効果 ④ 「見えない力」のからくり:物理学者も驚いた"万有斥力"の正体 趣向を変えて、万有引力ならぬ"万有斥力"についてみていく。 キーワード:インフレーション、ダークエネルギー ⑤ 「見えない質量」のからくり:宇宙初期から存在する「第二の重力源」 我々がふだん接している「ふつうの物質」とは、その成り立ちも性質もまったく異なる「正体不明の質量」が登場する。 キーワード:ヒッグス場、ダークマター ⑥ 重力のからくり:相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか 「きわめて弱い力」である重力がなぜ、宇宙を支配する強大な力になりえたのか? その秘密を解き明かし、物理学を支える二大理論、すなわち相対論と量子論がなぜ相容れないのか、その謎解きに挑む。 キーサード:重力場の量子化、量子重力理論
内容が多岐にわたるため、↑のように各章の簡単な紹介に留める。悪しからず。
なお6章には、先にほんの少し紹介したループ量子重力理論も、次にほんの少し紹介する超弦理論も、簡単に取り上げている。
複数の書籍を通じて理論が繋がるのは、本当に満足感が溢れる瞬間だと感じる今日この頃。
時間の終わりまで ~650ページ超えの長編宇宙叙述詩~
さて、本記事の大トリは、ループ量子重力理論と並ぶ量子重力理論である超弦理論の第一人者で、ロヴェッリ先生同様にいくつもの一般向けベストセラーをだされているブライアン・グリーン先生が、「時間の始まりから終末といえそうな何かに至るまで」、宇宙を詳しくみていこうと語る書籍↓。
内容的には、以前に挙げた記事にあるような、宇宙の始まり・生命の誕生・心や知性の発生・宇宙の終わりを総括した、超ボリューム満点の一冊である。
↑これらをひとまとめにしたのだから、そりゃ読破に時間がかかるわけだ (言い訳(笑))。
本書の内容も、物質から宇宙というように、スケールの違う話題が多岐にわたるため、内容の紹介は割愛するが(決してサボってるわけではない(笑))、一つだけ特に重要な考えを取り上げよう。
著者の思想の中核には、物理法則の「階層」が入れ子になった物語という概念がある。
これは、大先生と同調するのもおこがましいが、ブログ主が量子論を考える上で重要としている、「スケール毎」にパラメータ近似してみていく視点と合致する。
要するに、「宇宙には宇宙の物語」…「星々には星々の物語」…「生命には生命の物語」…「原子には原子の物語」…といった「階層性」があり、それらは一見すると矛盾するようだが、たっぷりと再解釈の余地があり、入れ子となって矛盾することなく連続に繋がっているのだ。
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宇宙生物学を取り上げた以前の記事でも述べたが、いよいよ多種多様な分岐をきたしている昨今の自然科学では、専門分野の垣根を乗り越えた視点が重要になってきている。
そうでもしないと、量子論や宇宙論に限らず、人類に残された難問には歯が立たないぞと。
もっと知りたいと思ったら、専門書を目印に、協力し合って共に進もうではないか!!
賢者への道程を!! 時間が終わる前にはたどり着くと信じたい、真理への道程を!!
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