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数式図鑑 おすすめ理学書籍

数学
もしも数学が美しくなかったら、
おそらく数学そのものが生まれてこなかっただろう。

人類の最大の天才たちをこの難解な学問に惹きつけるのに、
美の他にどんな力が有り得ようか。

(ピョートル・チャイコフスキー [1840~1893])

あれ? また「数学の素晴らしさ」ってのを語るの? もうよくない?

……いやいやいやいや、まだまだ語り足りませんわ(笑)

前回が「数学の美しさ」とすれば、本記事では「数学の神々しさ」について紹介しよう。

今回の書籍↓では、「数学のお兄さん」という肩書き(?)で数学の楽しさを全国に伝える活動をしている作者が厳選した、49種の数式の歴史的背景や驚くような美しい性質が分かりやすく説明されている。

この書籍では、数学の根幹・数学そのものと言ってもよい「数式」という要素に焦点を当て、その理解を通してさらに数学のおもしろさ・美しさ・すごさを体験して欲しいという目的のために、下記の章で構成されている。

第1章 数式は美しい
第2章 数式は楽しい
第3章 数式はすごい
第4章 数式は神々しい

前回と同様、この書籍に収められた1つ1つの数式もすべて独立している。

ただし、代数学・幾何学・解析学・統計学という専門分野や計算・図形などの一般的な言葉で分けられているが、それら分野は「完全に」独立しているわけではなく、それぞれが深いつながりや同じ実体を持っているのだ。

人間に深い理解を与え、科学の言葉・インフラである「数式」。

本記事ではそんな中で個人的に神々しさすら感じたトピックを語ろう。乞うご期待!!

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ミュンヒハウゼン数 ~不可思議な運命の秘密~

3435 = 33 + 44 + 33 + 55

世の中にはまったくの偶然で成立する美しい数式が存在する。

この数式もその例から外れず、「各位の数をその数の累乗分だけしたすべての和が、元の数になる」という性質を持つのだ。

この話が不思議と感じる理由の一つに、このような性質を持つものが「1」と「3435」の2つしかないということが挙げられる。

なぜこのような式が成立するのか、そしてなぜこの2つの式でしか成立しないのかは、特に明確な理由があるわけではない。

本当にまったくの偶然なのだ。

「1」は成立して当たり前といった感じがある分、特にこの「3435」の珍しさが際立つ。

ちなみにこの数には名前がついており、「ミュンヒハウゼン数」と呼ばれている。1943年のファンタジーコメディ映画『ほら男爵の冒険』の中で、ミュンヒハウゼン男爵が味方の撃った砲弾に乗って敵陣に偵察に行き、敵の砲弾に乗って自身の地に帰ってきたという不思議なアクションから、ミュンヒハウゼン数という名前がついているらしい。

ちなみに、計算の定義上、9999999999 (99×10は計算すると3874204890で元よりも小さい)よりも小さい数の中にしかミュンヒハウゼン数はいない。つまり、上の2つしかない。

ミュンヒハウゼン数と似たような数として、ナルシスト数というものもある。

これは、「各桁のそれぞれの数を自身の数の累乗にする必要はなく、すべてをn乗して足し合わせ、元の数と同じになれば良い」…という数のことだ。

153 = 13 + 53 + 33

↑といったように、例えば153、370、371、407、1634はナルシスト数になる。

このナルシスト数はミュンヒハウゼン数よりも存在する個数は多く、全部で88個ある。

このように、一見何も意味を持たなそうな偶然の数に対して、特別な意味を考えていくことができるのも数式の面白さであろう。

タクシー数 ~それは神の啓示?~

1729 = 13 + 123 = 93 + 103

数式を語るうえで欠かせない存在として、シュリニヴァーサ・ラマヌジャンが挙げられる。

「インドの魔術師」の異名を持ち、彼にしか発見できないような多くの公式や数式を遺した。

そんなラマヌジャンが体調を崩し寝込んでいたとき、彼の師匠であるイギリス人のハーディが見舞いに訪れた際の逸話として、「タクシー数」という有名な数が存在する。

ハーディは乗ってきたタクシーのナンバーが特に意味を持たない数字である1729であったということをラマヌジャンに話した。

しかし、それに対してラマヌジャンは即座にこう答えたのだ。

1729は2つの立法数の和で、
さらに2通りの形で表すことができる最小の自然数です。

ワオ!! ファンタスティック!!

魔術師と呼ばれたり、ラマヌジャンが思いつく数式が「神の啓示である」といわれたりする理由がよく伝わる逸話であること。

さて、実際に1729は1の3乗と12の3乗の和で表すことができ、さらに9の3乗と10の3乗の和でも表すことができる。

もっとも有名なタクシー数はこの1729だが、タクシー数は「2つの立法数の和としてn通りに表される最小の正の整数」と定義されており、Ta(n)で表される。

現在までに、Ta(6)までは正確に求められている。その衝撃たるや、とくとご覧あれ。

Ta(1)
= 13 + 13
= 2
Ta(2)
= 13 + 123
= 93 + 103
= 1729
Ta(3)
= 1673 + 4363
= 2283 + 4233
= 2553 + 4143
= 87539319
Ta(4)
= 24213 + 190833
= 54363 + 189483
= 102003 + 180723
= 133223 + 166303
= 6963472309248
Ta(5)
= 387873 + 3657573
= 1078393 + 3627533
= 2052923 + 3429523
= 2214243 + 3365883
= 2315183 + 3319543
= 48988659276962496
Ta(6)
= 5821623 + 289062063
= 30641733 + 288948033
= 85192813 + 286574873
= 162180683 + 270932083
= 174924963 + 265904523
= 182899223 + 262243663
= 24153319581254312065344

いかがだろう? 人智を超えていて、溜息がでないだろうか?

ちなみに、ラマヌジャンは19世紀末にインドのバラモン階級の家庭に生まれたが、なんと高等教育を受けるほど成績が良かったわけではなかった。

しかし、15歳のときに『純粋数学要覧』という公式集と出会ってからは、独学で数学を学び、証明の手法さえ知らなかったのに、極めて難解で歴史に残るような価値のある数式を大量に発見したのだ。

その数式は当時から現代までの数学者であれ、「なぜこんな数式を思いつくのか? 発見できるのか?」という、難解で奇妙で、神の啓示としか思えないものが多い。

それを発見したラマヌジャン自身も、

信じてもらえないかもしれないが、
寝てると夢にナーマギリ女神が現れ教えてくれるのだ

…と話すなど、その数式の価値にとどまらず、その存在までもが神の啓示であるような存在として語り継がれている。

数式に込められた驚異の真実に加え、それを発見する数学者の存在までもが神々しく、神の真理に包まれているかのように感じてしまうラマヌジャンの逸話は、尽きることのない数学の魅力や可能性を伝えているのだ。

完全数 ~古から人々を魅了する究極の数~

[完全数] = 2n × (2n - 1) / 2

「完全数」とは特別な性質をもつ数として扱われてきた。

その性質とは、「自身以外の約数をすべて足し合わせると、自身の数になる」というもの。

一見シンプルで多くの数がこの性質をもちそうだが、1桁の数では6だけ、そして2桁の数では28だけ、と完全数となる数はなかなか現れない。

そして、小さいものから6, 28, 496, 8128, …と、現在見つかっている完全数はすべて偶数となっている。奇数の完全数が存在するのかどうかは、現代数学でも判明していないのだ。

余談だが、自身を除く約数をすべて足したときに自身より大きくなる数は「過剰数」、小さくなる場合は「不足数」と呼ばれたりもする。これは明らかに完全数を基準にされていることを考えると、完全数が特別にされてきたことがより感じられるだろう。

さて、この完全数だが、下記のような面白い性質をもっている。

6 = 2 × 3 = 4 × 3 ÷ 2
28 = 2 × 2 × 7 = 8 × 7 ÷ 2
496 = 2 × 2 × 2 × 2 × 31 = 32 × 31 ÷ 2

つまり、1つ違いの数どうしをかけて2で割った数になっているのだ。

さらに、これらの分子は2n×(2n-1)で、2n-1が素数となっていることが判明している。

(このように2の累乗から1を引いてできる素数は「メルセンヌ素数」と呼ばれている。)

[完全数] = 2n × [メルセンヌ素数] ÷ 2

この厳密な証明はここでは割愛するが、かの大数学者オイラーがこの証明を発見した。

このメルセンヌ素数はこの記事作成時点で51個発見されている。

もっとも大きい数は、282589933-1となっており、十進法で表記したときの桁数は2486万2048桁となっている。もう…とてつもない大きさだこと…。

上の式からもわかるとおり、このメルセンヌ素数の発見と完全数の発見はリンクしている。

つまり、現在見つかっている完全数も51個になっているのだ。

ちなみに、6や28は何かと美しいとされていた数で、数学の分野を超えて扱われている。ここまできたら何かこう…完全数自体にも深い意味があるように感じられるのもブログ主だけではないだろう。

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ここで紹介したのはおすすめ書籍で語られているトピックのほんの一部である

もっと知りたいと思ったら専門書を目印に、数学の森の奥深くに進んでみよう。

支配されろ!!数学の神々しさに!!これぞ賢者への道程!!

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