最近、同僚から機械学習の話を聴く機会がちらほらあった。
情報への関心と価値が過去に類を見ないペースで高まっている昨今、やはり医学分野でもそういった情報の取り扱い・応用などが進んできている。
それら知見収集のためにブログ主の次なる読書ターゲットが決まったところで、本記事では情報に関する応用数学の豆知識を3つほど紹介しよう。
参考は↓の書籍(カラフル)。彩りに釣られて中を見た知人に、キショイって言われた(笑)
極値理論
堤防を決壊させる異常な潮位や株式市場を奈落の底に突き落とす銀行業務上の大事故などの極端な事象は、正常なシステムを混乱に陥れる。
極値理論はこのような極端な事象を扱う数学の一領域である。
極値理論の中核は「極値分布」とよばれるもので、その分布はどんな並びの数列に対しても、過去のエビデンスに基づいて最も確からしい最大値と最小値、すなわち極限値を与えることができる。
例えば、過去の潮位のデータが与えられると、極値分布は任意の与えられた期間中に起こりうる最高潮位を予測することができる。
そのため、計画立案者はこれに基づいて最大級の高潮に十分対処しながら、かつ資源の無駄使いにならない程度に費用対効果の高い堤防を建設するのだ。
極値理論は1958年ドイツの数学者エミール・ユリウス・ガンベルによって確立された。
最近、この理論は100m走において人類が到達可能な最速タイムを予測するのに使われ、9.51秒という答えが導かれた。
この記事作成時点での100m走の世界記録は、2009年8月16日にウサイン・ボルトが記録した9.58秒である。
測定期間が伸びれば上記予測値も変化するため断言はできないが、「ライトニング・ボルト」は人類の限界速度にほぼ到達していたのだと思うと、驚きと尊敬を禁じえない。
スモールワールド理論
ケビン・ベーコンゲームをご存知だろうか?
俳優の名前が与えられ、その俳優とハリウッド俳優ケビン・ベーコンとを、できるだけ少ない数の出演作でつなぐというゲームである。
例えば、ミシェル・ファイファーは「ウルフ」でジャック・ニコルソンと共演しており、ジャック・ニコルソンは「ア・フュー・グッド・メン」でケビン・ベーコンと共演しているから、2ステップでつなぐことができる。
(ちなみに、↑は参考書籍での例であるが、映画も人物も何一つブログ主は知らない(笑))
このつながり方はスモールワールド理論として知られる。
数学者は、6つのステップによって地球上の全人口すべてが網羅できる、言い換えると人は誰でも、アドレス帳にある名前を介して世界中のあらゆる人と6つのステップでつなげられると主張する。(SNSで考えるとわかりやすい。)
これが「6次の隔たり」という言葉の語源である。
スモールワールド・ネットワークの肝は、長い距離をまたぐつながりである。
例えばあなたが、近所に住むたくさんの友人とカトマンズに住む1人の友人からなる友達の輪をもっているとする。
そのたった1つの長距離間のつながりによって、彼とネパールにいる彼の友人すべてと、あなたとあなたの近所の友人すべてをつなぐことができる。
Facebookの友人欄を6回ほどジャンプすればオバマ元大統領のページにいける
↑こんなジョークを以前聞いたことがあったが、あながち間違いではないというわけだ。
ケリー基準
ケリー基準はギャンブラーが最適な賭け金を計算するのに使われる公式である。
あるギャンブラーが、賭け金1ドルに対して、勝てば2ドルがもらえる2/1オッズを提示され、しかも勝てるチャンスが50%であることをギャンブラー自身が知っているとしよう。
そうすると、半分の確率で1ドルを失い、残りの半分は2ドルを得ることになる。
こんなとき、彼はいくら賭けるべきなのだろうか?
50%の確率で負けて破産するので、全財産を賭けるのは明らかに間違いだ。
1956年にアメリカの数学者ジョン・ケリーによって公式化されたケリー基準によれば、オッズがB/1で勝率がpのとき、
[(B×p)+p-1]/B
↑に等しい割合の額を賭けるべきだという。
このゲームの例でいえば、B=2でp=0.5であるから、ギャンブラーは持ち金の4分の1を賭けるべきとなる。
ちなみに、仮に有馬記念で勝率を1/出場馬数=1/16とすると、オッズが100倍なら持ち金の約5%を賭けるべきとなるのだ。
賭けて5%、勝って6倍…しょっぱいような、しょっぱくないような(笑)
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ここで紹介したのは応用数学について個人的に面白いと思った豆知識である。
もっと知りたいと思ったら、専門書を目印に、「数学の森」の奥深くに進んでみよう。
目指せ!!数学の愛人(笑)!!これぞ賢者への道程!!
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